先日、恵泉女学園フェロシップホールの公開設計競技に応募した案をご紹介します。恵泉女学園は実家経堂にあり、子どものころから良く敷地前を通ってきた、そんな経緯がありました。
建築コンセプト
①八角形
狭隘な敷地にw500奥行850の座席スペース1200席を用意する。その検討により、八角形のホール形状が導き出された。舞台から客席までの近さを優先した結果である。
八角形の形状をした建築は、キリスト教においてロマネスク時代以来存在している。数字8は、キリストが復活後8日目に使徒聖トマスに現れたことから、「復活の象徴」としての聖数となっている。フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂などキリスト教に関わるいくつかの建築が「八角形」で造られてい る。
②可変するホール
今後のホールの多角的な仕様を鑑み、収納可能な可動座席、昇降式ステージ、正面の開閉式扉など、可変しながら様々な形でホールが使えるような機能を提案する。
③ホールの断面
住居地域による日影規制、高さ制限を意識し、近隣住居側に向けて低くなるような断面形状とした。舞台は奥側に設けられ、客席からの見やすさを考慮して掘り込まれている。舞台と中庭、泉とは軸線が一致している。
近隣住宅側は屋上も含め極力緑化、歩道提供等を行い、周辺環境に配慮したデザインとし、高さの緩和を受けられるようにする。
④正面のデザイン
上記断面形状により、中庭側はタワーとしてのデザインになっている。頂部はハイサイドライトとして採光の他、換気、排煙等の機能も持つ。八角形のマークを配する等、中庭側からはシンボル的なデザインとする。
SDGsも意識し、渡り廊下等残せる部分は極力残すが、中庭側のガラスは断熱性能の高い透明ガラスに入れ換え、ホールの形状を意識させる。
構造計画
RC壁構造を基本構造とし、ホールの大屋根部分を木造格子構造とする。準防火地域であるが、燃えシロ設計を採用し、構造体を露出したデザインとする。格子にすることで荷重を均等に負担させるため、効率的に大スパンの架構を実現することができる。
行政も林業振興や、SDGsの観点からも大型特殊建築物の木造化を推奨しており、話題性だけでなく補助金の獲得等も期待できる。木造格子には音の拡散版等もはめ込み、ホールの機能と一体化したデザインとする。
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