最近いろいろと注目される近代建築のリノベーションについて、youtubeで時代ごとの変化と合わせて語っています。

中野サンプラザや国立劇場、帝国ホテルなど最近東京で話題になっている近代建築の再生について。いずれも条件があってうまくいっていません。中野サンプラザは図面がないことが原因。どんな図面管理していたんだという話ですが仕方がない。帝国ホテルも建て替えですが、間仕切り壁も含めてRCの躯体のため、各部屋を大きくするなど最近のホテルのプログラムに合わせるのが難しい。

磯崎新が設計したお茶ノ水スクエアについて、ヴォーリズの設計した主婦の友ビルを再生して、磯崎新設計の新築部分と組み合わせています。これが1989年。近代建築を再生して現代につなげた最初期の例です。

こちらは再生が進んでいる同じくヴォーリズ設計の山の上ホテルと、関西を中心に現存するヴォーリズの作品群について。彼の作品群は全国あちこちで建物を生かしながら転用されています。あまり大きくない規模のおかげか、事務所や学校など建築の内容が転用しやすいのか。

今話題になっている丹下健三設計の旧香川県立体育館の再生について。最近解体工事が始まると報道がありました。再生の話も提案されておりどうなるか。。。

施設の長期にわたる利用ですが、国立西洋美術館について。ル・コルビジェの設計で1959年に完成。ポイントは1990年代の後半に全面改修によって免震構造としたこと。これの影響もあってか2016年に国立西洋美術館も含めた世界にあるル・コルビジェの作品群が世界遺産に。

国立西洋美術館にある断面模型。免震構造がどうなっているかがよくわかります。

これはスイスですが、ヘルツォーク&ムロン設計のバーゼルの劇場リノベーション、解体改築が決まっていたのに改修に。海外では決まっていた内容が住民の反対などによってひっくり返る事例がよくあります。

ヘルツォーク&ムロンはロンドンのテートギャラリーリノベーションで名を上げた建築家で、他にもハンブルグのコンサートホールなど、大規模リノベーションで都市の活性化に貢献しています。

ハンブルグのプロジェクトも当初別の建築家がコンペでリノベーションのプロジェクトに勝ったにも関わらず、H&Mがコンサートホールを載せるという別の提案をして市民に支持されたという経緯が・・・。大規模リノベーションの場合どういう内容になるか、建築家のもっているネットワークやノウハウによるところも大きく一概に判断できないところが問題です。写真を見てもわかるとおり既存部分はレンガタイルの色の部分で「氷山を載せた」ようなデザインをしています。

ハンブルグ エルプハーモニーコンサートホールHP
https://www.elbphilharmonie.de/de/

このホールの音響設計を担当した日本の永田音響のリポート。
https://www.nagata.co.jp/news/news1702.html

ドイツ語版wikiを読むとやはり予算のことが書いてあって、当初予算の約10倍の7億ユーロ、すなわち945億円近くなったといいます。当初の案はH&M以外の設計で、プログラムもコンサートホールなんて入っていなかった。あの場所にリノベーションでコンサートホールを入れるという内容になって予算が膨張したといえます。結局、側だけ残して、コンサートホールは自立した基礎で地盤から立ち上げ、音を考慮した全面制振構造です。構造など考えると、建設費はありえない金額ではありません。

私は実は2010年くらいに故あってハンブルグ現地を視察していて、その時も予算の件で議会で紛糾していましたが、市民の建築に対する評価は高かった。場所もハンブルグ湾の象徴的な場所だし、やはり予算が10倍になったシドニーオペラハウスの顛末と似ている。この建築については一概にコストの話だけともいえないのです。

エルプコンサートも含めた欧州でのリノベーションについて話しています。