2013年

わたしたちのデザインパートナー、鈴木晶久の友人のアートコレクターから依頼を受けた住宅計画。熱海市のはずれ、海に面した絶壁の上にある。熱海は東京からさほど遠いわけではなく、車で通うことも可能。デジタル化、IT化の進行で、今はあたりまえだか、2012年の頃、住まい方が変わりつつある時期だった。

これまたアートコレクターらしくデザインテーマを与えられて、それが「多様性と均一性」おもしろい。わたしたちはこのチャレンジを受けた。

私かこのプロジェクトで考えたのは、敷地と反響する建築。海に面する豊かな場の力は、多様性と単一性そのものだった。湾を取り囲む敷地の形状に合わせ幾何学を抽出し、結果として生まれた円弧の重なった柔らかなデザインにより、どこにもないアートとしての住宅が出現した。

海を挟んで人とアートが対峙する。若い映画監督たちの舞台となるような、21世紀のマラパルテ邸を目指した。